三島青果と函南の農家さんを見て感じた農業の可能性について 前編

イズクラシ、楽しんでます。千田です。

伊豆と農業と関わるようになって早5ヶ月。

しかし僕の伊豆の農業を見る窓は「伊豆の国市」の「直売所」からだけ。

 

でもね、伊豆半島の中でも農業の大生産地と言えば三島と函南。

そして農家さんのメイン販売先は「農協」や「市場」なんですよね。

 

そこで以前インタビューさせていただき、スーパーのバイヤーもやっていた森賢一さんからこんなご提案を頂戴しました。

Farmers -生み出す人- vol.5 森賢一さん

「三島青果、っていう市場に行って競りとか見てみたかったら一緒にいきますよ。あと、函南町の、若手でバリバリやっている農家さんとかも紹介しますよ」

 

-ぜひ!

 

ということで、賢一さんにご一緒いただきました。

 

三島青果さんへ

 

夜も明けきらない午前6時、三島の街から箱根の山を越えようとするその最中

 

突如として三島青果が現れます。

 

近隣農家さんたちが毎日「ほうれん草を400束(!)」「白菜を200個(!)」と続々持って来てはこの市場を通してスーパーや八百屋さんに運ばれていきます。

 


全部ブロッコリー

全部白菜。でも、全体のほんの一部。

 

野菜はもちろん、果物やお正月のお飾りまで。

 

さて、市場と言えば「競り(せり)」ですよね。

 

競りと言えば、

大学の講堂みたいなところで市場の人と買い手とが向かい合って掛け合いをしながら物が売られていく

という勝手なイメージがありましたが、ここ三島青果さんでは「移動式」の競り方法を採用しています。

 

ずらーっと並んだ野菜や果物、それを人が囲みながら

 

「この小松菜は1箱いくらで!」

「○○円!」

「●●円!!」

「他にいないか!じゃあ●●円で△△さんに決まり!」

 

全体が少し移動して、

 

「このほうれん草は1箱いくらで!」

 

というやりとりを繰り返していきます。

 

そして買い手が決まったものは誰が買ったかわかるように個々のナンバープレートのようなものを置いていきます。

 

 

 


全国的に品薄の白菜をめぐる攻防

 

やっぱり、競りって活気がありますよね。


みんなが何を言っているか全くわからないけど、口ぶりからも激しいやりとりを繰り広げているのが伝わりました。

何を言ってるのかわからないけど。

 

 

 

 

 

 

人の列はぐんぐんとあっという間に進んでいきます。

 

何がどのくらいの値段で売れているのか、近場の相場も貼られています。買い手の方々はこういうものも参照しながら、互いに駆け引きをしつつ買っていきます。

多分。

 

 

良いものは高くなります。

買い手の方々も「あの人のモノは間違いない」という共通認識があるので必然「質と評価(価格)」が比例します。

 


末端では600円/kg以上になるのでは、という柿。直売所の約2倍の換算。

 

 

 

伊豆の国のイチゴもシーズン。


 

 

出荷量の多寡によりますが、だいたい1時間ほどで競りは終了。

外では富士山が朝焼けに浮かびます。

 

朝が本格的に始まると、市場は一旦小休止。物が溢れていた場所もガランとなります。

 

 

じゃあ買われた商品はどうなるのかって?トラックにガンガン詰め込まれ、運ばれます。

 

 

賢一さんに市場の役割についてさらに深く話を聞いてみるととても興味深い市場の機能がありました。

それが、「相対(あいたい)」取引というもの。

 

「競り」が誰が何を買うかわからないオークション形式である一方で

「相対」は買い手が決まっているいわゆる「お取り置き」的なモノのようです。

 

例えば、千田が大量にほうれん草を作っていて、毎日500束出すからマックスバリュさん買ってよ!などと言うと、マックスバリュさんが「良いけど、じゃあ市場通してよ」となり、千田のほうれん草は毎日市場には出荷するけれどそれは競りには出ずにマックスバリュさん専用の倉庫にそっとしまわれる。

そして手数料を市場に払う。

 

というようなユースケースが想定されます。いろんなパターンがあるようですが。

 

「市場と言えば競り」

という認識でいた僕はかなりびっくりしました。

そして市場の方曰く

  • すでに取引量は競りよりも相対の方が多い
  • 取引が安定している=手数料収入も安定する、ので市場的にも相対による収益は重要
  • とは言え、全部相対になると規模の小さい業者さんが仕入れられなくなるので競りの社会的役割も大きい

というようなこともお聞きできました。

 

また、市場は法律によって「理由なく出荷物の買取を拒否できない」ということが定められているので、

農家さんが持って来たものは買わなきゃいけないし何がなんでも売らないといけないぜ

というかなり辛い立場。

また、手数料の割合も法律で決められているので収入源も限定されるので、株式会社とは言えかなり公的な役割が強いな、というのが個人的な印象です。

 

実際

「小規模農家からの出荷でも基本<買い取り>をしてかつ<競り>によって小規模小売店へものを流通させる」

というのは特に大規模小売店を持たない地方や地域にとっては非常に重要な役割であると言えます。

 

そして、市場の方々がおっしゃっていたことでとても印象的だったのは

「物が足りてない」

と言うこと。

 

競りに出てくるものが不足しているのはもちろん、相対取引を行なっている大規模小売店もまだまだ地場の野菜を欲しているとのこと。

それはイコール農業によって収益を上げられる余地がまだまだあることを示唆しています。

 

人口(食べ手)は減るが作り手も減る。

 

今はこの作り手の減少が顕著です。

 

じゃあ実際に若いながら「作り手」として活躍されている方々の現状はどのようなものなのでしょうか。

 

市場の最前線を見てそんなことを考えて、函南町の農家さんの元へ移動したのでした。

 

続く。

 

コメントを残す