【地域おこし協力隊】伊豆でホップを作る!野本さんは「チャレンジ」の人だった【更新!】

「地域おこし協力隊」と聞いてどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。

  • 役所の人?
  • 移住する人?
  • 何かをやってくれる人?

僕はチャレンジする人だと思っています。

地域おこし協力隊としての給料をいただいていて、かつ仕事内容に大きな制約がない身分だからこそ、他の人が取れないリスクを取って新しいことに挑戦する。

うまく行けばその地域に新しい風を吹き込めるし、失敗しても本人にとって大きな経験になります。「失敗」という実績が地域に蓄積されることも非常に有益です。

そんなことを思っていると、伊豆の国市のお隣、伊豆市で地域おこし協力隊として活動している野本さんと話をする機会がありました。

軽く話を聞いていると、やってることがそりゃもう半端じゃない。 

あまりにも半端じゃないので、野本さんの活動場所に少しお邪魔することにしました。今回はズバリ

伊豆市の地域おこし協力隊野本さん訪問記

です。

 

伊豆市地域おこし協力隊野本さんについて

野本さんの何が半端ないのか、それは順を追って説明します。のでまずは野本さんご自身のことを。

 

警察官から地域おこし協力隊へ

なんと、元「高知県」の警察官。公務員から地域おこし協力隊への華麗なる転身です。

「安定した身分なのにもったいない」

そう思う人もいるかもしれません。僕もそう思いました。でも、農作業をやっている時の彼の笑顔を見て、それは筋違いな話なのだと気付かされました。

 

高知から伊豆に来た理由

農家を志して高知県で研修を受けていたところ、今の奥様とお知り合いに。奥様が沼津出身だったことから「伊豆への移住、農家への転身」を決定。

その条件で探していたところ、「伊豆市地域おこし協力隊<農業隊員>」の募集があり、それが縁で伊豆市へ移住されたとのこと。

 

しいたけ農家さんになる?

地域おこし協力隊でも私のように「特定の地域を盛り上げてください。方法は問いません」

という超絶自由なものもあれば、野本さんのように

「農業(漁業、林業)に従事してください。3年後もそれでぜひ独立してください」

という職業が決まっているものも存在します。

野本さんの場合は「しいたけ農家」になることを目標として日々活動されています。

 

伊豆市地域おこし協力隊:野本さんのすごいポイント

ここで野本さんのすごいポイントです。

今彼は伊豆市の「土肥」という地域にいらっしゃるしいたけ農家さんのところで研修をしています。

しいたけ、と言っても「原木しいたけ」です。

 

こういうやつですね。

この原木しいたけ、木にしいたけ菌を打ち込んで、2年ほどするとしいたけが生えて来ます。

 

この画像手前に見える白い丸は「コマ」と呼ばれます。この数が多ければ多いほど木を切ったり、運んだり、「コマを打ったり」という手間が発生します。農家さんの会話はこんな感じ。

 

「今年は体がきつくて、1万コマだけだ」

「うちは家で食べる分だけだから、3,000コマだけにしたよ」

 

さて、野本さんはお師匠さんについて今年一体何コマのしいたけを作ったのでしょうか。

 

答えは

 

20万コマ

 

です。

 

これ、知ってる人が聞いたら吐き気がする数です。

晴れている日は毎日山に入って、木を切るか木を運ぶかコマ打ちをするか。これを7ヶ月以上繰り返してようやくできる数ではないでしょうか。もっとかも。

原木しいたけって作るのが本当に大変なんです。野本さんがすごいのは、素人ながらにこれをやり通したことなんです。何よりも。本当にすごい。

原木しいたけの作り方がいまいちピンとこないからその大変さもピンとこないぜ、という方はぜひ以下の記事をご一読いただきたいです。本当に。

伊豆の【原木】しいたけってうますぎて必食だけど、作るのがすごい大変です、という話

【原木しいたけ】菌打ち編-伊豆の原木しいたけは美味しいので必食!でも作るの大変!!

【原木しいたけ】だから本当に美味しいけど作るのが大変は話vol.3【木を立てる】

 

僕は野本さんに聞いたんです。
「原木しいたけ農家は本当にきつい。他にも選択肢はあるのではないか?」と。

すると、彼の答えはこうでした。
「原木しいたけって本当に美味しいじゃないですか。本当に。自分が美味しいと思えるものを作りたいから、僕はしいたけ農家を選びます」

 

イケメンですが、答えもかなりイケメンです。

 

伊豆市でホップ栽培に挑戦

ここまで、野本さんがかなりすごいということが、特に原木しいたけを作ったことがある方にはおわかりいただけたかと思います。

しかし、これだけではないんです。野本さんはさらに「新しいチャレンジ」もされているんです。

それが、ホップの栽培

今伊豆市ではベアードビールという醸造所が自家製のホップ栽培をしていますが、それ以外で本格的にホップ栽培をしているところはありません。

でも実は「ホップ」と「しいたけ」ってかなり相性のいい作物、なんですね。どういうことなのか、掘り下げてみます。

 

野本さんとホップの出会い

原木しいたけ農家さん、秋から冬、春と忙しいですが夏場は少し落ち着きます。夏場に何か作れないかと考えていた野本さん。

野本さんの奥様はベアードビールで働いていました。ベアードビールではホップの栽培をしていて、話を聞く限りホップの需要が見込めそうだと思いつきます。

ホップの需要が高まるのはビールの需要に連動しますので、ですね。

ホップは、基本乾燥してから利用します。だから「乾燥機」が必要です。
原木しいたけ、生食だけではなく「乾燥しいたけ」としての出荷が非常に多いです。「乾燥機」が必要です。

!!!

 

これがホップとの出会いだったそうです。

 

未来へのチャレンジ

「先人もいない、うまくいかないかもしれない、でも3年後には協力隊が終わる。他の人が作っているような農産物を作る、という手段もあるのではないか」

と僕は聞きました。すると野本さんはこう答えました。

「確かにうまくいかないかもしれない。3年で答えが出ないかもしれない。でも、今自分はチャレンジできる立場にあるし、もしうまく行けば「しいたけとホップできちんと収入が得られる、じゃあ伊豆で農家をやってみよう!」という新しい人が現れて、伊豆への移住者が増えるかもしれない。
そうすることが<地域おこし協力隊>としての活動かなとも思います。」

 

協力隊として求められているのは「しいたけ農家」として独立すること。実際後継者不足に直面しているしいたけ業界では、野本さんがしいたけ農家になってくれるだけでも大きな意味があります。

しかし野本さんはしいたけ農家になることはもちろん、「その先」を見据えて行動しています。それは単に伊豆で新しいものを作る、というだけではなく、自身がモデルケースとなることで新たな農家希望者を、移住者を増やす、ということです。

同じ協力隊として、非常に刺激的なお話です。刺激強めです。同じ伊豆の協力隊として、切磋琢磨したいところです。

 

伊豆のホップ、実際の様子

現在、ホップ作りは伊豆市役所にも「正式な活動」と認められており、着々と進めています。その様子を見てきました。こちらも本当に大変です。

場所は同じく伊豆市の「土肥」。山の側にはすぐに海がある、そんなところです。

 

もともとお花を生産していたところが舞台です。

 

きれいに整地されていますが、最初は草ボーボーで瓦礫もあるかなりの荒地だったそう。そこをユンボを借りて自分で直したそうです。すごい。

 

さて、ホップってどんな風に育つかご存知ですか?だいたい10mくらいまで育つらしいです。こんな感じに。

 

で、これ。

 

畑に等間隔で支柱が立っているのがわかるでしょうか。

大きさはだいたい高さ3mほどで直径が20cmくらい。コメリで売ってるんですって。これが30本以上立ってます。

 

これ、全部一人で人力で(ハシゴに登って上から木槌でドンドン叩いて)やったそうです。

地下の地層が硬く、40cmほど打ち込むのに1本1時間半くらいかかったそうです。

一人ですよ。

僕なら2本目で心が折れてますね。

 

ここまでできたらいよいよホップを植えるだけですね!

でもホップの種、正確には苗、全然手に入らないんですって。

それでも方々交渉して手に入れたホップ。

 

最初の数週間は全然目が出ず非常に心配だったそうですが、今になってかなり育ってきたと。

 

ホップは非常に生命力が強いんだそうです。

「横目を切っても、また生えてきちゃうんですよ」

 

「畝の真ん中から出てくるはずなのに、なぜか横から生えてきたりするんですよ」

この写真、本当は画像右端くらいから生えてくるはずが、畝の真横、キワキワから生えてきて苦笑されていました。

 

「ホップ、本当にやんちゃで困っちゃいますよ」

 

そう言いながら笑っている野本さん。

その笑顔には、

未来に向けてチャレンジしている人の凛々しさもあり、
パートナーであるホップへの愛情もあり、
やんちゃな我が子を見守るような優しさ

がありました。

先月子どもができた野本さん、きっと良いお父さんになるな。

 

畑から見上げた青空とそびえるポール。ここをホップが埋め尽くす日が遠からずやってくるのでしょう。

 

【2018年7月26日更新】

あれから2ヶ月

ホップがどうなっているのか、再び野本さんのホップ畑へ伺いました。

すると、なんと言うことでしょう!

ホップが実ってるではありませんか!!

 

生の(?)ホップなんて見たことありますか?

僕はありませんでした。

 

めちゃめちゃ実ってる!!

 

2ヶ月前

 

めっちゃ実ってる!!!

 

ホップってめっちゃかわいい!

 

ホップは、ビールを作るときに殺菌や香りづけを目的に使われるものです。

地ビールとか飲むと独特の香りや風味がするじゃないですか?

あれはホップによるものだったりもします。

ホップの中身を割ってみると?

 

黄色い!

この黄色から、フルーティーで独特の香りがしてきます。

 

「一年目だからね、まだまだこれから」

 

そんなことを言いつつ、野本さんは着実に農家さんとしての経験を積み重ねていました。

すごい!

負けてられない。僕も頑張ろう!

イズクラシ、オススメです。

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