イズクラシ、楽しんでます。伊豆の国市地域おこし協力隊千田です。
伊豆の国市の里山の中、熱海へ抜ける道の途中に位置する「浮橋」地区。
そこでは地域の方々が街を元気にするために「浮橋まちづくり実行委員会」を組織して、イベントの開催や伝統的な風習/習慣の保存活動などを行なっています。
私千田はそんな浮橋の街の雰囲気が大好きなので、これまで様々なことを取材させていただきました。
そして今回は「炭」作りのいよいよ最終章、「窯出し」編です。
「炭」を作る
委員会の方々に「毎年炭を作ってんだよ」と言われた時には
???
となった僕ですが、その作成プロセスを取材させていただき具体的な作業を目の当たりにするにつれ、
炭を作るってめっちゃ大変
と実感しました。本当に大変なんですもの。ちょっと振り返って見ましょう。
まずは「木を切る」ところから。「木を切る」んですよ。庭の木の枝を切るんじゃないんです。
山に入って木を切り倒す
んです。
木を倒したら、それを適当な大きさに切って「炭焼き釜」に入れます。
この部分、取材できず…来年こそは!
そして釜に入れた木を「10日間以上」「朝から晩まで」燻し続けます。
このプロセスも、地域の方々が交代で行います。朝の8時から夜の10時まで。これもものすごく大変。
十分燻したら、2週間ほどそのまま置いて冷やして完成です。
後は釜から取り出して袋に詰めて炭作りの終了。
そう、今日はいよいよ最後の工程。
「窯出し」です。
炭の窯出し
朝の8時過ぎ、地域の方々が炭焼き小屋へと集まって来ます。
「これ作ったんだよ」と見せていただいたのは大きな一枚木に「浮橋まちづくり委員会」の文字が掘られている看板。
こういうのをサクッと作るってどういうことなんだろう。あ、作り方を聞くのを忘れたな。
朝一番でさっそく度肝を抜かれましたが、負けまいと小屋に入ります。
釜の入り口にはレンガが敷き詰められているので、まずはこれを取る作業
炭だ!
炭だ炭だ!
本当に炭ができてる!!!!
入り口から中へ
トタン板をソリ的に改造したものに炭を乗せて運び出します。
外では袋詰め
炭だ炭だ炭だ!!
計量して
15kgになったら一袋完成。軽トラに乗せます。
釜の炭がなくなるまで繰り返し。
私千田も写真を撮るだけではなく実際に作業を手伝わせていただきましたが、これ、
真っ黒になります。
鼻の穴まで、真っ黒になります。
炭鉱で働いていた方が健康を害しやすいと言われるのが実感できます。釜の中は粉塵が蔓延して、マスクをしていてもすり抜けて容赦なく黒くして来ます。
しかし昔は炭が唯一の熱源。
そして機械のない時代は特に、浮橋のように地域の方々が集まってみんなで炭を作っていたのでしょう。
作業が終わった後は集まってお茶を飲みながら「これで今年も大丈夫だね、お互い頑張ろう」なんて談笑していたのでしょうか。習慣や風習は人をつなげて、文化を育んでいたのかな、と妄想しながら作業は進みます。
小休止中に釜の中へin
釜の中は横2m,縦1mほどの空間。
炭たちを少し動かすだけでも粉塵が舞い上がり、とても長時間作業をできる場所ではありません。
釜の中から外を見る
釜の中から見る外の世界は、明るく、果てしなく広がっています。
さっきまでそこにいたはずなのに、釜の中から見るだけでその景色は「日常」から「無限の可能性を秘めた世界」へと僕の心の中で変貌を遂げます。
「物事を違う目線で見る」
使い古された言葉ですが、こうやって実際にやって見ると、釜の中と外だけでも、その言葉の意味が実感できます。
などと考えている場合ではありません。
咳とくしゃみが止まらない
やばいやばい。
70歳を超えているのにここで黙々と作業ができる皆さん方は、本当にすごい。
2時間かからず、すべての炭が釜から出されました。
合理性、利便性を追求してもいいんです。
しかし、あえて昔ながらの方法で炭を自分たちで作ってもいいんです。
「炭を作る」
言葉にすればこれだけのことかもしれませんが、その裏には膨大な時間と作業が隠れています。それをあえて地域のみんなでやる、ある一面から見れば経済性や合理性は否定されるかもしれませんが、「違う目線で」見ると違うものが見えて来ます。
今回炭作りを一から取材させていただいて、単に
「地域の方々がみんなで炭を作っている!すごい!!」
というだけではなく、炭を作る一連の行為がもたらす効果を「違う目線」で見る、考察することでこれからも自分が大切にしたい「物事を多様な面を理解すること」の重要性を再確認することができました。
イズクラシ、おすすめです。
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